ドイツ滞在編⑤: Die schönste Zeit im Leben sind die kleinen Momente, in denen du spürst, dass du zur richtigen Zeit, am richtigen Ort bist.(人生で一番美しい時間は、自分が相応しい場所にいると感じるちょっとした時)

Servus!(南ドイツ・バイエルンの方言:バイリッシュで「こんにちは」)
今回がミュンヘンからお届けする最後のリアルタイム留学体験談となります。終盤に差し掛かったドイツ留学、当初の目標にどこまで近づけているかご報告します!

 

■ドイツ語学科2年 M.K(女性)
■留学先:ドイツ 州立ミュンヘン大学 (※ドイツ語学科 在外履修制度にて留学中)

厳しい冷え込みで凍ってしまったオリンピック公園の湖。
厳しい冷え込みで凍ってしまったオリンピック公園の湖。

3月に帰国するまで残り1ヶ月を切りました。
留学前は、言語能力を評価する国際指標・ヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR)において、ドイツ語C1レベル(熟練した言語使用者)になることを目標としていました。その後、5か月間で、語学クラスのレベルが順調に上がり、修了証も取得出来たので、目標としていたC1レベルには既に到達出来ました。

授業で使用している講堂。
授業で使用している講堂。

C1到達を果たした今、ドイツ語修得に関する新たな目標を持っています。
それは、Deutsche Sprachprüfung fur den Hochschulzugang(DSH)という試験で優秀な成績を残すことです。

DSHとはドイツの大学に入学を希望する外国人のためのドイツ語能力証明試験です。
3段階のレベル別に成績が出るのですが、出願したい学部によって、求められるレベルが異なります。


大学卒業後は日本で大学院に進学することを考えていましたが、留学を経て、

1) 学部時代に学んだドイツ語運用能力を活かし、さらに伸ばせる。
日本において、高レベルのドイツ語運用能力を持つ日本人は英語と比べるとまだ少ない状況です。より一層、能力を伸ばし、自分の可能性を広げたいと考えています。


2)ドイツの公立大学では、正規生の場合、国籍に関係なく殆ど学費が発生しない。
ミュンヘン大学の場合、大学の維持管理にかかる学期共済費とゼメスターチケット(ミュンヘン市内の殆どの公共交通機関を、学期中、無料で利用できる定期券)を含めて、1年間(2学期)で学費は650EUR程度です。

 

3) 日本と比べドイツの大学・大学院の方が、在学生の年齢層や国籍が多種多様。
留学生はもちろん、EU内での人の移動も多いため、様々なバックグラウンドを持つ学生と出会い切磋琢磨することが可能。文化や言語の違い、異文化間のコミュニケーションを学び、吸収できることが多い。


…といった点で、ドイツで学ぶメリットを実感し、現在はドイツの大学院に進学することも可能性の一つとして考えるようになりました。

DSHはドイツ国内でしか受験が出来ません。ちょうど帰国直前に試験があるので、留学の総仕上げとしてチャレンジするつもりです!


ドイツ語圏で学び、暮らすことは、1日24時間ずっとその言語に触れていられるので、ドイツ語の運用能力を高める上で最適な環境でした。「読む・聞く・話す・書く」の4技能のうち、特に向上したと感じる技能は、「話す・書く」技能です。

 

日本で学んでいた頃に比べ、文法上のミスが大幅に減り、母語話者に近い自然な言い回しでドイツ語を話したり、書いたりできるようになりました。中でも「書く」技能は、日常的なレベルであれば自分でもかなり自信を持てるようになりました。

 

留学当初から日独翻訳の授業で宿題が出るたびに、自分が日本語からドイツ語に翻訳した文章をドイツ人学生にチェックしてもらっていたのですが、段々と文法上の誤りに関する指摘は減り、代わりに表現に関する検討時間(ドイツ語でどのように表現すると、最も日本語の原文に近くなるのか)が増えました。お陰でドイツ語での表現力も向上することが出来ました。

履修しているドイツ語の授業の様子。
履修しているドイツ語の授業の様子。

逆にもう少し頑張りたいのは、アカデミックなドイツ語の語彙や、言い回しを覚えることです。
日本語でも、友人や家族とのカジュアルな会話における言葉と、大学のレポートや卒業論文で使用する言葉が異なる様に、ドイツ語においても場面によって言葉の使い分けが求められます。

 

私は将来、教育に携わる仕事がしたいと思っているため、ドイツの教育カリキュラム、生徒の評価方法、教員の育成方法などについて、興味を持っています。教育学の領域をより深く学ぶために、大学卒業までに学術論文もドイツ語で読めるようになりたいと考えています。


日本に帰国してからの研究計画についても色々と考えています。
留学により新たに興味を持った分野として、「外国語としての日本語の教え方」があります。

 

将来、教育に携わる仕事をする、という目標のために1年次からドイツ語と英語の教職課程を履修していますが、
移民が多いドイツで暮らしてみて、外国籍の子どもへの語学教育の重要性を感じました。

日本でも外国籍の子どもは近年増加傾向にありますが、言葉の壁もあり、十分な教育支援が行き届いているとは言い難い状況です。
そこで日本よりも移民が多いドイツで行われている外国籍の子どもへの教育支援策を学ぶと同時に、

可能ならば自分自身でも母語である日本語を、外国籍の子ども達に教えられる能力を身につけたいと思うようになりました。


私が言語を学ぶ・教える重要性を感じている理由には、ドイツでの実体験も大きく影響しています。
留学中、母国の文化的な特徴を客観的な視点、異なる文化圏からの視点で捉えることの必要性を痛感したからです。

 

例えば、ドイツでは重大事件を除き、原則、事件の容疑者は匿名で報道されています。ですが、日本では青少年以外は実名のほか年齢も公表されています。

それが当たり前だと思っていたため、ドイツ人の友人に匿名で報道する理由を尋ねた際「だって匿名にしないと、服役後に社会復帰できないじゃない」と言われ、ハッとしました。「受刑者の社会復帰」という視点・発想を持っていなかったことに気付いたからです。

 

このように異なる文化圏からの視点を持つことは、母国の常識や慣習にはない柔軟な発想を持つことにも繋がります。
この視点・発想を得るためには、言語の運用能力が不可欠です。そのため、私は母語以外の言語を学ぶことが重要だと考えるようになりました。

 

日本で母語以外の言語と言うと、圧倒的に英語が人気ですが、日本での英語学習について気になる点があります。
世界から見ると実は英語は非母語話者の方が多い言語です。それにも関わらず日本では「母語話者のようにきれいな発音の英語」を求める傾向が強いことに対し、「それが本当に外国語教育のあるべき姿なのだろうか?」と疑問も持っています。
今後は研究を通じ、このような疑問への自分なりの答えも模索するつもりです。

 

言語を学ぶことに苦手意識を持つ人も多いですが、ただ「将来仕事で必要になるから」ではなく、自分の世界を広げる、成長のきっかけとして外国語に触れる機会が増えたらよいと思いますし、私自身、これからも語学に関わり続け、将来的には教育を通じ、多くの人に外国語と触れ合う機会を提供できる人間になりたいと考えています。


勉学の面以外でも、残された期間でこれだけは達成したい!という事があります。
それは「お土産に持って帰りたいベストオブチョコレート&ベストオブハーブティーを決める」です(^^)

 

ドイツはチョコレートの種類だけではなく、ハーブティーの種類もかなり豊富なので、
食べ比べ、飲み比べに日々勤しみ、最高の一品を手に帰国したいと思います!


最後に最近お気に入りのドイツ語のフレーズをご紹介します。

 

Die schönste Zeit im Leben sind die kleinen Momente, in denen du spürst, dass du zur richtigen Zeit, am richtigen Ort bist.

「人生で一番美しい時間は、自分が相応しい場所にいると感じるちょっとした時」という言葉です。

 

今私は「日本に帰りたくない」と思いながら、残り僅かな留学期間を過ごしています。
最初は自分のことを誰も知らない土地で生活することに不安もありましたが、自分の掲げた目標に向かって一生懸命取り組み、更に新しくやりたい事も見つけられた留学は、本当にチャレンジして良かったと思っています。きっと私は今「人生で一番美しい時間」を過ごしているのだと思います。

 

高校生の皆さんも、受験勉強など不安だったり苦しいこともあると思いますが、その先に得られるものはたくさんあるので、ぜひ前を向いて頑張ってほしいと思います。

ミュンヘンのニンフェンブルク城にて(本人写真)。
ミュンヘンのニンフェンブルク城にて(本人写真)。

次回は日本に帰国してから、この留学の総括をお送りします。それではまた。Tschau!